こんにちは、日中に少しハードな仕事をすると、試験勉強とブログ更新が手につかないっ!しまじです☆
第2種電気工事士試験合格への道も、5回目となりました。
目次
交流の基本回路
前回は、「正弦波交流」にて、電圧や電流が時間的に一定の位相を持った波であることを学びましたが、今回は、その交流電圧を用いた、電気回路について勉強していきます。
ベクトル図
今日の1つ目は、電圧と電流の「ベクトル」についてです。「ベクトル」って何でしょう?「ベクトル」とは、大きさだけでなく、向きも持ち合わせた量のことをいいます。
交流の電圧と電流は、直流の時とは違い、時間によって値が変化します。それぞれが、時間ごとに位相差を持った値となるんですね。この位相差は角度で表すことが出来ます。(前回、度数法と弧度法により2パターンの表し方があることを学びました。)
位相差分の角度による向きを持った電圧と電流、この電圧と電流を「ベクトル」として表すことが出来るのです。
電圧と電流のベクトルを表しているのが、上の図になります。電圧に対し、電流が位相差θ分だけズレて流れています。電流が、位相差θ分、電圧よりも遅れているといいます。
波形の下にあるベクトル図を見てみますと、電圧Vと電流Iの上に・がついています。 この・はドットと呼ばれ、文字の上についていると、ベクトル表記という事を表します。また、先ほど、電流は、位相θ分だけ遅れているといいましたが、電圧ベクトルを「基準ベクトル」とした場合に、電流ベクトルが時計回りに位相差θ分だけ回転して表示されています。角度θ分の向きを持った値ということですね。
今回は、電圧ベクトル値が「基準ベクトル」となり、3時を示す方法に矢印が書かれ、それに対して、電流ベクトル値が位相差θ分、時計回りに回転した向きで表示されています。逆に、波形が進んでいる場合には、位相差θ分、反時計回りに回転した方向に矢印が表示されることになります。
ちなみに、ベクトルは足すことが出来、角度θズレている2つのベクトルがあった場合、それぞれのベクトルで平行四辺形を書いた時の、対角線が、それぞれのベクトルの和となります。
抵抗回路
続いて、交流電圧を用いた回路について学んでいきましょう。まずは、交流電圧に抵抗だけを接続した回路からになります。
では、この抵抗に交流電圧をかけると、流れる電流はどのようになるのでしょうか?
交流回路に、抵抗だけを接続した回路が上になります。この場合、電圧と電流は同時に値が変化をし、位相差はありません。この時の、流れる電流と、抵抗値は次の式になります。
- 電流 IR=V/R(A)
- 抵抗 R(Ω)
直流の時と同じですね。
誘導性リアクタンス回路
なんだか難しい言葉が出てきました。リアクタンスって何?
リアクタンス : リアクタンスとは、コイルやコンデンサにおける電圧と電流の比のことです。単位は、(Ω)オームで、「抵抗」と同じですが、エネルギーを消費しません。仕事量がないので、発光したり、熱を帯びたりしないってことですね。
では、誘導リアクタンスとは、誘導性のあるリアクタンスという事になります。主に、誘導性リアクタンスとはコイルの事をいいます。これを交流回路に接続するという事ですね。
交流回路に、誘導性リアクタンス(コイル)を接続すると、電流は電圧に対して、90°位相が遅れて、流れます。この時の回路に流れる電流ILと、誘導性リアクタンスXLは、次の式で計算できます。
- IL=V/XL(A)
- XL=2πfL(Ω)
π : 円周率3.14
f : 周波数(Hz)
L : 自己インダクタンス(H)
自己インダクタンスとは、回路内の電流が変化することにより、自分自身に生じる起電力の大きさのことです。コイルに電流が流れると、電磁誘導の法則により、起電力が生じます。(電磁誘導についての説明は、また今度)また、単位を(H)ヘンリーといいます。
上の式をみてみると、誘導性リアクタンスは1周期である2πに、周波数と自己インダクタンスをかけた値となっています。また、電流については、直流回路と同じ式ですね。
容量性リアクタンス回路
交流を用いた回路、最後はコンデンサを接続した「容量性リアクタンス回路」についてです。
コンデンサ : コンデンサとは、電気を蓄えたり放出したりする電気部品で、電圧を安定させたり、ノイズを取り除いたり、信号を取り出したりするのに用います。種類により、いろいろな形状のものがあります。では、交流回路にこの容量性リアクタンス(コンデンサ)が接続されると、どうなるのでしょうか?
交流回路に、容量性リアクタンス(コンデンサ)を接続すると、電流は電圧に対して、90°位相が進んで、流れます。この時の回路に流れる電流ICと、容量性リアクタンスXCは、次の式になります。
- IC=V/XC(A)
- XC=1/2πfC(Ω)
π : 円周率3.14
f : 周波数(Hz)
C : 静電容量(F)
静電容量とは、コンデンサが蓄えることが出来る、電気の量を表します。単位を(F)ファラドといいます。
上の式をみてみると、容量性リアクタンスは1周期である2πに、周波数と静電容量をかけたもので、1を割った値になっています。誘導性リアクタンスの逆数的な関係式ですね。また、電流については、直流回路と同じ式になってます。
以上、交流回路に、抵抗・誘導性リアクタンス(コイル)、容量性リアクタンス(コンデンサ)を接続したときの関係性についてでしたっ
抵抗・誘導性リアクタンス直列回路
これまでは、交流回路に抵抗や誘導性リアクタンス(コイル)が、それぞれ1つだけ接続されている場合について、学んできました。今度は、抵抗と誘導性リアクタンス(コイル)が直列に接続された場合について、考えていきます。
インピーダンス
インピーダンス、また難しいカタカナ文字が出てきましたね。単純にいうと、直流回路における合成抵抗値を、交流回路であらわした値のことになります。
例えば、今回は、交流回路において抵抗と誘導性リアクタンスが直列に接続された回路についてという事なので、抵抗と誘導性リアクタンスを合体させたものといった認識です。
まず、抵抗Rについての、電流・抵抗・電圧をまとめます。
- 電流 IR=I
- 抵抗 R
- 電圧 VR
つぎに、誘導性リアクタンスについての、電流・誘導性リアクタンス・電圧をまとめます。
- 電流 IL=I
- 誘導性リアクタンス XL=2πfL
- 電圧 VL
では上の2つを用いて、この回路の電流・インピーダンス・電圧は、次の関係式で表すことが出来ます。
- 電流 I=V/Z=V/√R(2乗)+XL(2乗)=IR=IL
- インピーダンス Z=√R(2乗)+XL(2乗)
- 電圧 V=√VR(2乗)+VL(2乗)
2乗が上手く書けていないので、少々見ずらくなっていますが・・・。この式を用いて計算することが出来ます。交流回路においては、インピーダンスと電圧は、ベクトルの和で表すという事ですね。ちなみに、それぞれの電圧は、
- VR=I×R
- VL=I×XL
で計算する事が出来ます。
力率
交流回路では、流れてくる電力をすべて100%使用することは出来ず、電圧と電流の位相差θをcosθで表した割合でしか、有効に利用する事は出来ません。この時の割合のことを力率といいます。
今回の回路の様に、抵抗Rと誘導性リアクタンスXLを直列で接続した場合の、力率cosθは、次の式で計算することが出来ます。
cosθ=VR/V=R/√R(2乗)+XL(2乗)=R/Z
抵抗にかかる電圧を回路全体にかかる電圧で割った値か、もしくは抵抗を回路全体のインピーダンスで割った値になります。
例題
次の交流回路において、抵抗にかかる電圧VRは何ボルト?
【解き方】
まずは、回路全体から見ていきます。誘導性リアクタンスの値をXLとした時、この回路全体の電流I・電圧V・インピーダンスZは、
電流 I=V/Z=100/10=10(A)
電圧 V=100(V)
インピーダンス Z=√R(2乗)+XL(2乗)=√8×8+6×6=√64+36=√100=10(Ω)
直流回路のため、抵抗Rに流れる電流IR=I=10(A)となるので、抵抗Rにかかる電圧VRは、
VR=IR×R=10(A)×8(Ω)=80(V)
【解答】80(V)
今日のまとめ
今日は、「交流の基本回路」と「抵抗・誘導性リアクタンス直列回路」について学びました。いやー交流って奥深いですねー。少しずつ慣れていくしかないですっ
それでは