こんにちは、オーブンで焼いたトーストに、たっぷりのマーガリンとマーマレード☆しまじです☆
第2種電気工事士試験合格への道、第17回っ。電線にどれくらいの電気を流すことが出来るのか、「電線の許容電流」の話になります。
目次
電線の許容電流
電気を流すために必要な物、それは電線。電気を流す線のことですね。電線は、電気を流しやすい銅の心線を、ビニル等にて被覆して作られています。では、その電線について、 少し詳しく見ていきましょう。
600Vビニル絶縁電線(IV)
まずは、600Vビニル絶縁電線(IV)について、この電線は、600V以下の電気を流すために使われる、最も一般的な電線です。
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この様な電線で、銅でできた導体が、ビニル絶縁体に覆われています。ちなみにIVとは、
- IV電線:Indoor PVCの略で、屋内配線用として広く普及している電線のこと。電気を供給する電線だけでなく、接地線としても使われている。
※PVCとは、ポリ塩化ビニルのこと
この電線(IV)ですが、電線に電流を流す上で、どれだけの電気を流すことが出来るか、いわゆる許容電流というものがあります。
- 許容電流:連続で電気を流して使用した場合、導線を覆っている絶縁被覆が著しい劣化をきたない限界の電流。
この許容電流ですが、次の項目でその値が決められます。
- 導体の断面積
- 絶縁被覆の種類
- 周囲温度
- 電線を保護管に収めるかどうか
などです。そして、IV電線のように、被覆がビニルの場合には、導体の許容温度が60℃(周囲温度30℃において)として、許容電流を決定します。
碍子(がいし)引き配線の許容電流
では、600Vビニル絶縁電線をがいし引き配線した場合の許容電流について、見ていきましょう。さて、がいし引き配線とは、
- がいし引き配線:昭和40年頃まで施工されていた配線方法で、碍子(がいし)と呼ばれる白い陶器製のものを使って、電線を壁から浮かせた状態でつないだ配線のこと。
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上の物が、碍子(がいし)です。凹んでいるところで電線を固定しながら、配線していきます。そして、この時の配線の許容電流は、次の表の値となります。
単線 (mm) | 許容電流 (A) | より線 (mm2) | 許容電流 (A) |
---|---|---|---|
1.6 | 27 | 2 | 27 |
2.0 | 35 | 3.5 | 37 |
2.6 | 48 | 5.5 | 49 |
※周囲温度30℃
表で、単線とより線というものが出てきました。
- 単線:1本の導線にビニル被覆がしてる電線のこと
- より線:細い複数本の導線をよって1本の導線にし、ビニル被覆している電線のこと。単位を公称断面積(mm2)で示します。
表を見比べてみると、単線のΦ1.6(mm)がより線の2(mm2)とほぼ同等、単線のΦ2.0(mm)がより線の3.5(mm2)とほぼ同等、そして単線のΦ2.6(mm)がより線の5.5(mm2)とほぼ同等の許容電流の値となっています。
周囲温度が30℃の時、この許容電流以上の電流を電線に流すと、ビニル絶縁被覆に著しい劣化を及ぼすことになるという事になります。
金属管などに収める場合の許容電流
電線を保護などの目的で、金属管などに収めて配線する場合、熱の放散が悪くなり、許容電流が減少することとなります。減少する許容電流値は、収める電線の本数に応じて、先ほどの碍子(がいし)引き配線の許容電流の値に、電流減少係数をかけた値になります。
- 許容電流=碍子(がいし)引き配線の許容電流×電流減少係数
小数点以下1位を7捨8入する
同一管内の電線数 | 電流減少係数 |
---|---|
3以下 | 0.70 |
4 | 0.63 |
5又は6 | 0.56 |
表によると、1本の管の中に入れる電線の数が、増えていくほど電流減少係数の値は小さくなっています。すなわち、許容電流が小さくなり、同じ電線の太さでも、管の中に複数本同時に入れられている電線は、1本だけ外に配線してある伝線よりも、流せる電流値が小さくなります。
600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル(VVF・VVR)
600Vビニル絶縁電線(IV)の他に、600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル(VVF・VVR)という電線もあります。住居などで良く使用されている電線です。
上の様な、平型の「VVF」と丸型の「VVR」のものがあり、600V以下で使用される屋内用電線で、心線がPVC(ポリ塩化ビニル)で覆われて絶縁され、さらにその外側が、ポリ塩化ビニルの外皮(シース)で覆われています。
この、600Vビニル絶縁ビニルシースケーブルですが、3心以下のケーブルについては、電流減少係数を0.70として、許容電流を計算します。同一管内の導線数が3本の時の電流減少係数と、同じ掛け率ということですね。
コード
最後に、ビニルコードについて。移動して使用する電気機器などで使用されるコードのことで、一般的に広く使用されていますが、熱に弱いのが弱点です。なので、電球や電熱器などには使用することが出来ない電線になります。コードの許容電流は、下の表となります。
導体の公称断面積(mm2) | 許容電流(A) |
---|---|
0.75 | 7 |
1.25 | 12 |
2 | 17 |
以上、各種電線の許容電流でした。例題に続きます。
例題1
金属保護管に電線を入れて配線する、低圧屋内配線工事において、管内に直径2.0(mm)の600Vビニル絶縁電線(IV)を3本入れて施工をした時、電線1本当たりの許容電流(A)は?ただし、周囲温度は30(℃)以下とする。
【解き方】
金属管に電線を入れる為、許容電流を求める際には、電流減少係数がかけられることとなりますが、まずは、碍子(がいし)引き配線の場合の許容電流を知る必要があります。
直径2.0(mm)の単線なので、この電線の許容電流は、35(A)でしたね。
さらに、管内に3本の電線をいれて施工をしている為、電流減少係数として、0.70をかける必要があります。
つまり、電線1本当たりの許容電流は、
小数点以下1位は7捨8入であるため、許容電流は24(A)となります。
【解答】24(A)
例題2
低圧屋内配線に使用する、600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル丸型(VVR)で、導体の直径が1.6(mm)、心数が3心の許容電流は?ただし、周囲温度は30(℃)以下とする。
【解き方】
まずは、碍子(がいし)引き配線の場合の許容電流がいくつになるかから、
直径1.6(mm)の単線なので、この電線の許容電流は、27(A)でしたね。
さらに、600Vビニル絶縁ビニルシースケーブルで3心以下の電線については、、電流減少係数として0.70をかける必要があるので、許容電流は、
18.9(A)と計算ができ、さらに、小数点以下1位は7捨8入であるため、このケーブルの許容電流は、19(A)となります。
【解答】19(A)
今日のまとめ
今日は、「電線の許容電流」について学びました。碍子(がいし)引き配線の場合の許容電流と、同一管内の電線数に対する電流減少係数の値を覚えるのが、たいへんですっ
それでは