時間外に大きく株価が下落したクラフト・ハインツ【KHC】について、徹底分析していきます。こんにちは、アメリカ株で資産運用をしている、クラフト・ハインツ【KHC】ホルダーの☆しまじです☆
目次
- クラフト・ハインツ【KHC】とは
- クラフト・ハインツ【KHC】の企業情報
- 株価推移
- 売上高と利益の推移
- 時価総額の推移
- 資本の推移
- EPSとPERの推移
- BPSとPBRの推移
- ROEとROAの推移
- 配当金の推移
- キャッシュフローの推移
- まとめ
クラフト・ハインツ【KHC】とは
クラフト・ハインツ【KHC】は、アメリカのペンシルベニア州ピッツバーグに本社を置く、食品会社です。
クラフトフーズ・グループとハインツという、2つの会社が合併して、それぞれの名前を取り、クラフト・ハインツ【KHC】が出来ました。合併する前の2社は、どちらも長い歴史を持つ企業になります。その2社について、少しだけ説明していきます。
クラフトフーズ・グループ
クラフトフーズ・グループは、1903年にジェームズ・ルイス・クラフトが、シカゴで創業したJ.L.クラフト&ブラザーズ・カンパニーが元になります。
その後、クラフトチーズ、クラフトフーズと名前を変え、1988年に、フィリップ・モリスに買収されますが、2012年にクラフトフーズ・グループとして独立します。
ハインツ
続いて、ハインツ。クラフトフーズ・グループよりも歴史は古く、創業は1876年になります。ヘンリー・ジョン・ハインツによりつくられた会社で、世界で初めてトマトケチャックが製造販売しました。
現在のクラフト・ハインツ【KHC】と同じピッツバーグに本社を置き、130年以上に渡り、トマトケチャップを始め、さまざまな加工食品を製造販売しています。
そして、この2社は、2015年2月に、バークシャー・ハサウェイと3Gキャピタルにより買収され、次の月の3月に、クラフト・ハインツ・カンパニー【KHC】として、NASDAQ(ナスダック証券取引所)に上場する事となります。世界第5位の食品会社の誕生です。
- バークシャー・ハサウェイ・・・「オマハの賢人」と言われる、伝説の投資家ウォーレン・バフェットが筆頭株主の、世界最大の投資持株会社。
- 3Gキャピタル・・・ニューヨークが拠点のブラジル人4人が中心となって作った投資会社。2010年に、バーガーキングワールドワイドを買収し、注目された。
- バーガーキングワールドワイド・・・直火焼きハンバーガー、チキンが目玉商品のレストラン
ブランド
クラフト・ハインツ【KHC】は、チーズ加工品、ケチャップ、調味料、缶詰、冷凍食品、などの加工食品を製造販売しており、多くのブランドを持っています。
- クラフト
- ハインツ
- オスカーマイヤー
- カプリサン
- クールエイド
- マカロニ&チーズ
- などなど
また、アメリカを中心に世界180ヶ国で販売されており、まさに世界トップレベルの食品会社です。
クラフト・ハインツ【KHC】の企業情報
事業内容 : 加工食品
チーズ、ケチャップ、調味料 など
セクター : 一般消費財
社名 : Kraft Heinz
市場 : NASDAQ「ナスダック証券取引所」
従業員 : 39,000人
決算 : 12月
配当月 : 2,5,8,11月
株価推移
3.5年
クラフト・ハインツ【KHC】の株価推移です。3年間と半年分の株価チャートがこちら
2015年に合併したため、2015年5月からのチャートになります。株価がピークを迎えたのが2017年3月、$97近くまで上昇しています。2社が合併し、ノリノリの時期ですね。
その後、ひたすら株価を下げ続け、現在は$35程と、ピーク時から約1/3、クラフト・ハインツ【KHC】が出来てから、約1/2にまで落ちています。
1年
続いて、最近1年間の株価チャートはこちら
株価が下がり続けた1年間でした。2019年に入りなんとか持ち直そうとしましたが、2018年の通期決算が発表された2月22日(日本時間)、一気に$13近く急落しました。評価損益が大きくマイナス表示され、ビックリした朝でした。
売上高と利益の推移
では、各指標をみていきましょう。まずは、売上高と利益について、過去3.5年間の推移
2015年は、丸1年の集計ではないので少なめとなっています。なので、2016~2018年の3年間の推移をみてみますと、売上高については、ほぼ同水準となっています。増やせていないのですが、減ってもない状況です。
ただ、2018年、営業利益が大きくマイナスに転じ、純利益も大きなマイナスとなりました。決算書によると、のれんの減損損失 $-72.72億、と無形資産の減損損失 $-86.67億がその原因となっています。
これは、「クラフト」や「オスカーマイヤー」の、のれん代償却によるものです。
- のれん代償却・・・「のれん代」とは、企業を買収した際に、その買収した金額が、純資産額を上回った代金のこと。のれん代は、実際に買収したのちに、償却されます。
そして、営業利益率は、一気にマイナスへ突入した年となりました。
時価総額の推移
続いて、時価総額と、発行株式数の過去3.5年間の推移がこちら
発行株式数は、12億株で一定ですが、株価が大きく下がり続けており、時価総額も大きく減少している状況です。
$1,071億→$532億へと約半分に減っています。なかなか厳しい状況へと追い込まれています。
資本の推移
資本についてみていきます。過去3.5年間の推移がこちら。
資本については、総資産および自己資本が少しづつ減少していますが、自己資本比率は、50%で安定しており、悪くはない状況です。また、その額も大きく、2018年の総資産は$1,000億を超えています。
EPSとPERの推移
次は、1株あたり利益「EPS」と株価収益率「PER」の過去3.5年間の推移です。
※「PER」のマイナスは0にしています。
1株あたり利益「EPS」は、2017年までは順調に上げていましたが、2018年は、純利益が大きくマイナスとなり、マイナスに転じました。
また、株価収益率「PER」は、大きく減少していき、2018年、利益がマイナスとなり、グラフ上は0倍になっています。
BPSとPBRの推移
続いて、1株あたり純資産「BPS」と株価純資産倍率「PBR」についてです。過去3.5年間のデータがこちら。
2016年以降、1株あたり純資産「BPS」については、自己資本の減少に伴い、少しづつ減らしています。
また、株価純資産倍率「PBR」は、少しずつ減っている資本以上に、大きく株価が下がっており、減少。2018年には、1.0倍となっており、非常に割安な株価となりました。バフェット銘柄が、「PBR」1.0倍なんて、この数値だけ見ると、買いたくなっちゃいますわ。
ROEとROAの推移
株主資本利益率「ROE」と総資本利益率「ROA」の過去3.5年間の推移です。
2017年は、素晴らしい数値でしたが、2018年、純利益がマイナスに転じ、一気にものすごいマイナスへと変わっています。
配当金の推移
気になる配当金と配当利回り、過去3.5年間の推移がこちら。
2015年から順調に増配を続けていた配当金。2017年には、年間配当金$2.5、配当利回りは5.8%にまで上昇していました。この状況で株価が急落したため、配当利回りが7%を超えるかと思われましたが、2019年からは減配する予定で、$2.0になり、現在の株価だと、配当利回りが5.7%となる予定です。それでも、十分高いですが。
続いて、配当性向を見ていきます。
※2015年と、2018年の配当性向は100%にしています。
唯一、利益が大きくプラスとなった2017年が、配当性向27%と良かったですが、利益マイナスとなり、配当性向が表示できない状況となっています。
キャッシュフローの推移
最後に、キャッシュフローの推移になります。過去3年間のデータがこちら。
※2018年はデータなし
営業キャッシュフローに対する投資キャッシュフローの占める割合は、そんなに大きなものではなさそうですが、2017年時点で、営業キャッシュフローが大きく減少し、フリーキャッシュフローがマイナスに転じています。
さらに、2018年は、利益もマイナスに転じているため、非常に厳しい財務状況が続きそうです。
まとめ
さまざまな指数により、クラフト・ハインツ【KHC】を分析しました。2015年に合併しクラフト・ハインツ【KHC】になってからの期間は、まだ4年ほどと短いですが、その間において、2017年からはフリーキャッシュフローがマイナスに転じており、さらに、2018年には、のれん代の償却などにより営業利益、および純利益もマイナスとなりました。
さらに、決算資料に不備があるとの事で、アメリカ証券取引委員会から書類提出を求める召喚状を受け取っていたことと、2019年からは、配当金が$0.625→$0.4(4半期毎)に減配されることもあり、大きな株価の下落につながりました。
まったく良いところが見られない、クラフト・ハインツ【KHC】ですが、指標の分析からは、売上額が落ちていないことと、十分な資産と自己資本を持っているという強みも見られます。
世界に名をとどろかしている、多くのブランドを持つ食品メーカーとして、まだまだ成長する余地は十分にあると思います。ウォーレン・バフェット、そして3Gキャピタルには、ぜひ、クラフト・ハインツ【KHC】を赤字経営から脱却させ、利益と配当金を右肩上がりに変えていって欲しいと、願っています。その時には、追加購入したいですね。
それでは☆彡
クラフト・ハインツ【KHC】は、ウォーレン・バフェットの保有銘柄です。